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モノと心

モノには、それを使っているだけで幸せとか、

そばにあるだけで気持ちがいいとか、

そういう特殊な感情が流れる時があると思う。

特に工業製品ではなく手作りのモノにそういうことを感じる。

作っている人の思いが伝わるからなのか、

機能的な配慮がそう思わせるのか・・・、

理由はよくわからない。

よくわからないけれど、

できるだけそういうモノを使いたい。

そういうモノがひとつでも身近にあるだけで、

ほんの少し、心が豊かになっている気がする。

できれば家もそのひとつでありたいと思う。

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コルドバのメスキータ

スペインのコルドバという街に「メスキータ」という

キリスト教とイスラム教が同居する珍しい建物がある。

この建物の広い内部には何本もの柱が立ち並んでおり、

赤と白の2重のアーチがさらに強い印象を与えている。

2img_1620.jpg

柱に使われている石はローマ時代の遺構も多く、

あるスペースではいろいろなデザインの石柱が混在している。

柱頭や柱脚のデザインだけでなく、

太さも違ったりする。

同じデザインの柱で構成されたスペースもあるが、

どちらが魅力ある空間かと言えば、

やっぱり混在している空間のほうが、

ずば抜けて魅力を増している。

一見同じようなデザインの柱に見えるが、

デザインや太さがよーく見ると違っているという程度が

実にいい味を出している。

この微妙な差異が奥行きに深みを与えている。

どうしても赤と白のアーチに目が行ってしまうが、

この空間の魅力には、

この微妙な差異が働いているのを、

今日手にした本の写真を見ながら気づかされた。





ちぇっ、むかーし観に行ったとき、

もっと気にして見ておけばよかった。。。

オートロック

すごく最新で複雑な機能なものだと思っていても、

実は単純でシンプルでいいんだと思わされる時がある。



先日拝見した昭和初期の住宅。

そこで見たのはオートロックを備えた窓。

仕組みはいたって単純で、

写真のように、窓が閉じるとダボが自重でストンと落ちるだけ。

IMG_3199.jpg

IMG_3198.jpg

すごくシンプル。

これだけで、しっかり固定される。

壊れることもほぼない。

壊れたってすぐ直せる。

無駄のない仕組み。

ちょっと感動。



今度どこかで試してみたいな。

サザエの貝殻

仕事上できるだけモノの形には関心を寄せるようにしているのですが、

自然界にあるものの形には特に驚かされてしまうことが多いです。



ある人に見せられた2つの貝殻。

IMG_2696.jpg

突起のあるタイプとないタイプの2種類のサザエ。

突起のないタイプ(左)が瀬戸内海の穏やかな内海で獲れたもの。

突起のあるタイプ(右)が波の荒い外海で獲れたものだそうです。



驚くのは、内海で育ったサザエを外海に放つと、

突起物がぐぐっと伸びてきて外海で育ったタイプと同じような形になり、

外海で育ったサザエを内海に放つと、

突起物がだんだん小さくなり内海で育ったタイプと同じような形になるのだということ。

これは突起物の役目が、

波に流されないように岩肌にがっしり引っかかるようにするためだからであり、

波の状態によってサザエ自身がその形を変えているのだそうです。

おもしろい!



突起物をよーく見てみるとこんな感じです。

IMG_2697.jpg

突起物って、貝殻からにょきにょき生えてくるのではなく、

貝殻の表面のひだ状のものがクルッとなってできているのがわかります。

つまり、表面が布のようになっていて、

それがたるむことで一部を隆起させて突起物を形作っているのです。

表面積を変化させることで突起物を作ったりなくしたり・・・。

今までこんなじっくりサザエの貝殻を見たことなかったので、

こんなメカニズムになっていたのかと、とても感心してしまいます。



環境によってその姿を変え、無駄のない動きで形を変化しようとするサザエの貝殻。

自然界のモノはすごく合理的で美しいです。

こんな貝殻でも、見習うことが多いですよね。

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